風立ちぬ:松田聖子と大滝詠一
しつこいようだが、今日も大滝詠一ネタである。昨日のブログで女性ボーカリストによる大滝詠一作品のカバーアルバムについて書いたが、大滝詠一で、女性ボーカルと言えば、松田聖子である。
大滝詠一の「ロングバケーション」(以下ロンバケ)は日本のポップミュージックの歴史に残る名盤であるが、名盤は他にもある。その一枚が、松田聖子のアルバム「風立ちぬ」である。
- アーティスト: 松田聖子
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1990/10/15
- メディア: CD
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これも、私にとって思い出深いアルバムだ。発売が1981年。今から30年前だ。私が筑波大学に入学した年。私が入った宿舎は、個室だが6人でフロアを共有する構造になっていた。そのうちの一人に松田聖子ファンがいて、このアルバムを掛け続けていた。一度聞くと耳について離れないのが「いちご畑でつかまえて」。
変わったメロディでしょう。そして今、これのライブ版も見つかった。
当時の松田聖子は、アイドルとして全盛時代だ。
松田聖子は、アイドル界に革命をもたらした。一つは、その抜群なる歌唱力。今は廃盤になってしまっているようだが、下記のCDでは、かの3大テノールの一人、プラシド・ドミンゴのアルバムでゲストとして呼ばれて、デュエットを歌っているが、ジャンルが違う歌手であるにもかかわらず、ひけを取っていない。聞き惚れるほどの仕上がりとなっている。
もう一つは、彼女のアルバムの音楽品質の高さだ。その中でも、おそらく筆頭にあげられるであろうアルバムが、この「風立ちぬ」である。このアルバム、A面の作曲・編曲を大瀧詠一、B面の「白いパラソル」以外の編曲を鈴木茂、全曲の作詞を松本隆が行っている。はっぴいえんどというバンドのメンバーは、細野晴臣(ベース、ボーカル)、大滝詠一(ギター、ボーカル)、松本隆(ドラムス)、鈴木茂(ギター、ボーカル)だ。細野晴臣以外の全員、3人がこのアルバムに関わっているのだ。
このアルバムは、ロンバケの7ヶ月後に発表された。つまり、ロンバケとほぼ同じ時期に、A面を大滝詠一が精魂込めて作っているのだ。先のWikipediaにはこのように書いてある。
A面は大瀧のサウンドプロデュース・編曲からナイアガラサウンドが強く、大瀧自身は、このアルバムの7ヶ月前に発表された『A LONG VACATION』と対になることを意図したと『大瀧詠一作品集Vol.1』のライナーノートで解説している。最初にこのアルバムのタイトル曲「風立ちぬ」を渡されたとき、松田聖子は「いい曲だが、自分には歌えない曲だ」と言ったという(『大瀧詠一作品集Vol.1』での大瀧の解説より)。また、大瀧は、松本と組んだ作品は、これまで「はっぴいえんど」等での実験的な作品ばかりだったので、商業的に通用するかどうかの試金石だったとも述べている。
今日、通勤の往きと帰りの時間を使って、改めてこのアルバムを聞き直してみた。A面は5曲で、最後の3曲が、一千一秒物語、いちご畑でつかまえて、風立ちぬ、というラインアップ。夜の寒さもあったかもしれないが、A面をずっと聴いて、風立ちぬ、に至ると背筋がゾクゾクきた。
B面は、大滝詠一は関与していないようだが、アルバム全体としてのトータル感は保たれている。B面3曲目の「白いパラソル」は、作曲は財津和夫。「風立ちぬ」のひとつ前のシングルレコードだ。
このアルバム、30年前の作品なのに、サウンドも含めて、全く色褪せていない。ロンバケと並び、日本のポピュラーミュージック界における、歴史に残るアルバムの一つである。
松田聖子の歌唱は、アイドル系であり、ちょっとハスキーが入り、かつ微妙な粘りを持つ。昨日のブログを踏まえて言えば、「爽やかなカプチーノ」だ。大滝のロンバケサウンドと絶妙にマッチしている。
右肩上がりの時代がずっと続くと思われた、日本の古き良き黄金時代の音楽である。
おまけ
大滝詠一が唄った、風立ちぬ、があるのですね。デモテープのよう。インターネット時代、恐るべしではある。
http://www.youtube.com/watch?v=vwu5anEH000
デュエット版まで見つかっちゃいましたよ。本物かな?
http://www.youtube.com/watch?v=hLvrKll_ox0