マーカス・ミラーのライブ in 東京

昨日8月13日,長年の夢の一つがまた叶いました。マーカス・ミラー(エレクトリック・ベース)のライブ。渡辺貞夫渡辺香津美宮野弘紀マイルス・デイビス,デビッド・サンボーン,デイブ・グルーシンと,私が取り憑かれた数々のミュージシャンのアルバムでアレンジやベース他の楽器を担当。ソロアルバムの出来も素晴らしく,私が全部買いを決めているミュージシャンの一人。

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今回は5年ぶりのスタジオ・アルバム「ルネッサンス」の発売(日本発売5/16)を記念しての来日公演。自分が生きているうちに,できたら全盛期のうちに一度は観ておきたかったミュージシャンの一人。ジャズ,フュージョン分野で,歴史に残ることがもう決まっているミュージシャン。エレクトリック・ベースを弾く人で,知らない人はいないんじゃないかと思うようなミュージシャン。

ルネッサンス

ルネッサンス

今回はライブハウスで1時間20分位の演奏。2ステージ連続で,私が聞いたのは第一ステージ。3日連続の中日。ステージと客席が近い会場で,幸い,前から4列目,本人まで5メートル以内という感動のポジションで観ることができました。

エレクトリック・ベース(本人),ドラム,キーボード&ピアノに,アルトサックス,トランペット,エリクトリック・ギターを加えた6人のゴージャスな構成。マーカスは,ベースに加えて,バスクラリネットも披露してくれました。新アルバム「ルネッサンス」の世界をプレイ。翌日の今日,アルバムを聞き直してみましたが,やはりライブは良かった。アルバム録音以上の出来だったと思います。

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彼が卓越していると思うのは,サウンド,テクニック,エモーションが素晴らしい事に加えて,「マネージメント」がしっかりしていること。自己をマネージメントし,演奏をマネージメントする。ワクワクさせながら,破綻を来すことがない。近くに座っていたカップルがこんな会話を交わしていました。

女性:今日はいつもとちょっと違ったよね。いつもは,最初からアンコールのような感じの(ベース弾きまくり,ノリノリ)演奏だよね。
男性:そうだね。何かあったのかもしれないね。
女性:でも,あの人は人間として凄いことがわかったわ。

同感。

終演後,ステージに近づいてみてはっとさせられたのが,足元のエフェクター。ペダル2個に,エフェクターやらチューナやらが15個以上。印象的なのは,チューナ以外は皆,昔ながらのアナログ機材と思えたこと。日本のプロミュージシャンは,ハイテクのデジタルエフェクターを使う人が多いですけど。演奏中は,エフェクターを切り換えていることにほとんど気付きませんでした。サウンドが変わったことは認識できましたが,とてもスムーズ。長年のノウハウの積み重ねで彼のサウンドはできていて,これが彼が慣れたベストの機材なのだろうとしみじみと感慨に耽りました。