False negativeとなった「北朝鮮ミサイル発射」

北朝鮮ミサイル、空白の40分 危機管理の危うさ露呈  :日本経済新聞

自公政権時代の2009年に誤発表をしてしまったので,今回はそれがないようにダブルチェックするというワークフローにした結果,第一報が40分遅れたという話。

ITの世界では,セキュリティのためにwarningを出したり,パターン認識をするシステムを作るとき,false positive, false negativeという概念がある。前者は,誤って警報を出してしまうこと(検出したと思ったがはずれ),後者は警報を出すべきなのに出せないこと(つまり検出失敗)。今回は,false positiveを恐れ,false negative的になってしまったということ。

この国はおそらく,false positiveもfalse negativeも,いずれも許さないという文化を持っている。ミスを許さないという文化。ミスは恥という文化。ITの世界では,自動検出やパターン認識では100%はあり得ず,false positive/negativeとどう付き合うかが当たり前のことになっている。その付き合い方がシステム作りの一部となっている。両方を同時に減らすことは難しいこともよく知られている。

今回はおそらく,false negativeを避け,false positiveが出てもやむを得ないとい戦略をとるべきであった。

隣国で,ミサイルが発射されても,40分間は国民に知らされない国。辺境の島国で,隣国と言ってもかなり遠いから,これまで危機を免れて来られて,そして,危機に対応する体制が未発達なのだろうね。

政府担当の皆さんには,失敗からこそ学ぶことができると前向きに考えて,危機管理を頑張ってもらいたいね。