広島にて
今日は約4時間ほど新幹線に乗りながら,今回の原発事故(もしくは原発災害)が「想定外」かということについて考えていた.
そして私は広島に着いた.生まれて始めて訪れる広島.
路面電車に乗るのは随分久しぶりだ.30年前の高校時代,京都で乗って以来かもしれない.
時間がないので,いつもの出張用ピギーバックを引いたまま,原爆ドームへ.これがあのテレビのニュース映像と写真で数え切れなく見てきた原爆ドームか.柵に囲まれて中に入れないんだね.中が博物館のようになっていると,てっきり思っていた.
日本は今,地震・津波被害と,福島原発の事で大騒ぎだ.特に関東以北は.そして今私は,人類の原子力の原点の地に立っている.人類史上,最も多くの放射線が人々に浴びせられた中心地に.
そして明日私は,中国地方の経済界の会合でクラウドコンピューティングの話をする.話の「掴み」はエジソンと,エジソン・ゼネラル・エレクトリック(GE)社の話,そのGEが作った原子炉(福島第一原発1, 2号原子炉)が,最後の悲鳴を上げ,そして勇気ある人達がそれと戦っている.実に複雑な気持ちである.
この地で原爆に関する説明を読みながら印象的だったこと3点.
なぜ米国は原爆を落としたのか?
理由の一つは,戦後,ソ連との関係で,有利になるため.これは以前から聞いてたことがある.
もう一つの理由は経済に起因する理由だという.膨大な原爆開発費を国民に説明するため.被爆国側の説明とはいえ,ショッキングである.これについては,改めて考えてみたい.
印象的だったもう一点は,原爆が,地上600メートルの空中で爆発したこと.原爆の中に精度の高い高度計が埋め込まれ,計測されたらしい.地表よりも高いところで爆破させた方が破壊力が大きいことは,コンピュータ界の著名人であるフォン・ノイマンが「発見」したことが最近になって分かっている.複雑な気持ちである.(拙「悪魔のように賢いと言われた男フォン・ノイマン,何とドラマチックな人生」,「コンピュータと原爆を発明した男,フォン・ノイマン」)
最後の一点.原爆に先立って,パラシュートがいくつか投下されたそうである.無線機能付きの計測装置.原爆の様子を科学的に分析するため.今で言うセンサーネットは,原爆の時に創始されたのかも知れない.