昭和の絶頂期が封じ込まれたライブDVD「晴天 LIVE IN TOKYO 1989」

 12月16日に初DVD発売されたサディスティック・ミカ・バンドのDVD「晴天 LIVE IN TOKYO 1989」を購入した。

晴天 LIVE IN TOKYO 1989 [DVD]

晴天 LIVE IN TOKYO 1989 [DVD]


 今から20年前、レーザーディスクで発売された第1回再結成時のライブの初DVD化である。当時私は私は27歳。私がDVDを心待ちにしていた一枚である。

 サディスティック・ミカ・バンドWikipedia)は、故 加藤和彦氏(私ではないですよ)がリーダーとして結成し、1972年にデビューしたロックバンドである。

 私は中学以来、フォーククルセダーズの加藤和彦はよく聞いているのだが、サディスティック・ミカ・バンドはほとんど聞いておらず、サディスティック・ミカ・バンドの初体験がこの第1回再結成時のときであった。この時のメンバーは、加藤和彦高中正義小原礼高橋幸宏の4人に、新ボーカルの桐島かれんを加えたもの。この再結成の時に「天晴」という新曲構成のアルバムも作っている。当時、Boys&Girlsという曲がかなりヒットしたのではないかと記憶している。

 ライブ「晴天」では、「天晴」からの新曲と昔からの曲で17曲、70分と聴きごたえがある。

 私は中学時代、フォーククルセダーズを聞き、高校時代は同級生たちと共にイエローマジックオーケストラに大いにはまった。そして高中正義にもはまった。1989年の再結成で、サディスティック・ミカ・バンド加藤和彦高橋幸宏高中正義と、私が別々に愛するミュージシャンを一度に聞ける、私にとってのスーパーバンドであることを知り、遅ればせながら、忘れ得ぬバンドとなった。

 久しぶりに見返し、聞き返してみたが、そこにはバブル崩壊以前の、高度成長時代後期の日本が見える。当時は、まさか今日のようなデフレが待っているとは思いもよらない、右肩上がりの時代である。その右肩上がりの時代が、終わることなくずっと続くように思っていた。1989年=平成元年は、バブル崩壊直前の、ある意味、日本の絶頂期の時代である。

 このライブからちょうど20年後の今年10月、加藤和彦氏の生涯が突如、閉じてしまうとは思いもよらなかった。

 いろいろな意味で感慨深いアルバムであるが、そのような感慨を除いても、ここで演奏されている高品質なライブパフォーマンスの品質は、驚嘆すべきでものがある。このライブのLDが発売されたときにCD版も発売され、同時に購入した。現在も入手可能のようである。

晴天

晴天

 CDで、音のみで聴いても、驚くほどの高品質なライブ演奏だ。今回久しぶりに映像を見たが、再結成で、計算し尽くされたようなライブパフォーマンスだ。再結成で、そう多くの舞台は踏んでいないと思うが。新旧楽曲、演奏、ビジュアル、いずれをとっても素晴らしい。ボーカルを加藤和彦高橋ユキヒロ、桐島かれん小原礼の4人がとる。それに高中正義の、あのギターだ。女性ボーカルとして新抜擢された桐島の、艶かしさが微妙に入った衣装、ボーカル、そして身のこなし。パーフェクトだ。今となっては懐かしい、古き良き「昭和」がここに封じ込まれている。