大滝詠一は研究者である

ただものではないベストアルバム「B-EACH TIME L-ONG」

 私、大滝詠一のアルバムは、ほとんど聴いたと思っていたのですが、最近、レンタルCDショップで、聞いたことのないアルバムを発見しました。「B-EACH TIME L-ONG」。

B‐EACH TIME L‐ONG

B‐EACH TIME L‐ONG

 大滝詠一は、アルバム「ロングバケーション」(以下ロンバケ)で突如としてメジャーになったのですが、それまでに発表したアルバムの中で、ロンバケ風な曲を少しずつ発表していました。ロンバケ風な曲を集めたベスト盤になっています。ただし、ただのベスト盤ではない。イントロ部分にインストゥルメンタルバージョンを挿入したミキシングがしてあります。非常に心地よいアルバムに仕上がっています。こんなベストアルバム、聞いたことがないという感じ。

ポップ/ロックを米国から学び、日本オリジナルを作ることに成功した研究者

 彼はポップ/ロック音楽分野における、一種の研究者。米国のポップ/ロック音楽を聴き、憧れ、彼なりに分析・解釈し、次第にオリジナルなものを作り出すようになりました。ばんど「ハッピィエンド」のとき以来、一貫して、さまざまなことを試しています。そして、オリジナリティがあって、かつ、日本の人々に受けいられる音楽を探し続けた。その成果の結実が「ロングバケーション」と後続の「イーチタイム」。研究者として成功しているなぁと思います。
 今回は、ベストアルバムにまで工夫が凝らしてあることを知り、とっても感心。
 あいにく上記のアルバム、現在は販売はされていないようです。興味のある方はレンタルCDショップ等で探すか、中古版で聞いてみて下さい。

さまざまな試み

 ロンバケ以降の大滝詠一しか知らない人、最近になって彼を知った人は、彼をイージーリスニングなヴォーカリストサウンドリエータと思うかもしれません。しかし、大滝詠一はただの甘いヴォーカリストじゃありません。ロンバケ路線は、彼の一面に過ぎません。例えばこれなどいかがでしょう。

 どうです、このアクの強いボーカルは。「ハッピイエンド」時代の代表曲の一つ「はいからはくち」。初代国産ロックと言われているんですよ。素晴らしいですね。勉強から始めて、オリジナルな国風文化を作り上げている。

大滝詠一が英語で歌う「冬のリヴィエラ

 大滝詠一は、他の歌手への楽曲提供も多く手がけています。例えば森進一に「冬のリヴィエラ」を提供しています。これの英語詞バージョンがYouTubeで聞けるのですが、これが素晴らしい出来。こんなのをお蔵にいれておくのだから、恐るべし、大滝詠一

おまけ1

 田島貴男という素晴らしいヴォーカリストがいます。オリジナルラブというバンドのボーカル。彼がライブでカバーしているカバーしている「はいからはくち」がYouTubeにアップされています。オリジナルを強く意識しており、私には、はっぴいえんどへのリスペクトが感じられます。それもそのはず、このライブ、スペシャルライブのようで、ハッピィエンドのメンバー松本隆がドラムスを担当しています。

 松本隆は、作詞家として大成功を収めています。大滝詠一(作曲)とのコンビで多くの名曲を世に送り出しています。Wikipediaのリストを見ると、アラフォー世代の皆さんは、あれもこれもかと、その凄さに驚くでしょう。拙ブログ「」で紹介した「恋するカレン」や「君は天然色」も松本隆が作詞、大滝詠一が作曲。黄金のコンビです。

おまけ2

 「はいからはくち」といえば、センチメンタル・シティ・ロマンスの「はっぴいえんど」カバーアルバム「はっぴいえんど」の一曲目のアレンジ、演奏も素晴らしいです。このアルバム、一曲目だけでなく、全曲素晴らしい。カバーアルバムとは思えず、全曲持ち歌のように感じられます。オリジナルのはっぴいえんどによる演奏よりもポップな仕上がり。

はっぴいえんど

はっぴいえんど