大滝詠一曰く,「恋するカレン」は60点
1月10日放送の東京FM、山下達郎の「サンデーソングブック」は大滝詠一との新春放談第2回。そこで印象的だった話のご紹介。
皆さんは、大滝詠一の「ロングバケーション」というアルバムをご存知でしょうか。大滝詠一という名を知っていれば、必ずご存知でしょう。ご存知でなくても、その中の曲は、コマーシャルか何かできっと聴いたことがあると思います。このアルバム、日本のポップミュージック史上に残る、歴史的名盤です。駄曲一切なし。すべての曲がシングルA面化可能ではないかと思われるような、驚くべきアルバムです。楽曲、アレンジ、演奏、歌唱のすべてがパーフェクトに調和しています。
A LONG VACATION 20th Anniversary Edition
- アーティスト: 大滝詠一
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2001/03/22
- メディア: CD
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名曲です。このボーカルすごいでしょう。歌詞もすごい、アレンジもサウンドもすごい。一緒に歌うと歌えますが、カラオケで歌うと意外と難しい曲です。
Wikipediaにはこんな解説があります。http://ja.wikipedia.org/wiki/A_LONG_VACATION
ビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』などとともに、CBSソニーから発売された初のCDアルバムのひとつ。日本のミュージシャンとしては初のCDアルバムでもある。(1982年10月1日。CD番号:35DH1、値段:3500円)。発売1年で100万枚を突破した。これは2006年の音楽市場規模に換算すると400万枚に該当する。1989年、リマスター盤を発売。
つまり、一般に市販された日本人最初のCDがこのアルバムなのですよ。
「恋するカレンのボーカルは60点」
この曲について、先の番組で大滝詠一がこんなことを言っていました。バックの音を作ったときにこれはすごい曲ができたと、スタッフの間でも評判になった。後は歌入れのみ。ところが大滝詠一が歌ってみるとすごく難しかった。つまり、作った本人が歌っても難しかったわけです。
大滝詠一曰く、何度歌っても20点から40点くらいにしかならない。といっても大滝詠一はものすごい凝り性。録音からマスタリング、リマスタリングまで自分でやる能力をもっています。求めるレベルが非常に高い。彼曰く、数日かけて歌っても駄目だので、お蔵入りにしようかと思ったほどだそうです。でも1回だけ60点級の出来のものが録れた。60点だけどあきらめようと思った。それがアルバムに収録されているもの。
こんな凄まじい葛藤の中で作っているからこそ、あんな、日本ポップミュージック史に残るモンスターアルバムが作れたのですね。
なぜ60点?
大滝詠一のボーカルは、日本のポップミュージック界でも随一級のうまさです。いろいろな声色が使い分けることが出来、また、音楽、機材の知識ももの凄い。
そんな大滝詠一が歌いながら、なぜ60点なのでしょう? 私、思うに、あの曲、ボーカル曲と言うより、器楽曲と思うのです。映画のテーマミュージックのような。大滝詠一の作品をイージーリスニング風オーケストラ演奏した公認アルバムがでています。
- アーティスト: NIAGARA FALL OF SOUND ORCHESTRAL
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1991/03/21
- メディア: CD
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しかしこの曲を歌いこなしている大滝詠一は、改めて凄いと言わざるを得ない。本人が60点といえども、「恋するカレン」は、いや、「ロングバケーション」は、日本が生んだ最高級、不滅のポップスアルバムの一枚です。