NHKドラマ「てっぱん」の素晴らしさ:富司純子さんの演技と映像美


 現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説てっぱん」をビデオで撮って,時間のあるときに見ています.

 ストーリーの展開が,大阪新喜劇を彷彿とさせ,テレビ放映されていた昔を思い出し,懐かしく思います.主人公・村上あかり役の瀧本美織さんを始めとするキャスティングがとてもよいのですが,凄みある素晴らしさに感心してしまうことが二点あります.

富司純子さんの演技

 その一つはあかりの祖母、初音役を演じる女優 富司純子さんの演技の素晴らしさ.すべての場面で,パーフェクトと言って良い,素晴らしい演技をしています.表情といい,身のこなしといい,少なくとも私と同世代(40代後半)以上の人々が思い描くであろう,伝統的な(歳をとった)お母さん,あるいは,(若めの)おばあさんを演じています.微妙な表情の作り方,身体の動作.服の着こなし.そのすべてを自在に,その人物であるかのように演技し切っています.
 もし世界の人に映画かテレビドラマで見てもらえる機会があれば,世界的な大女優と呼ばれても不思議でないし,また,これが日本人の伝統的なお母さん,おばあさんなのかと知ってもらえると思います.
 私が富司さんの演技の凄みに気づいたのは,映画「フラガール」(2006年公開)を見てからです.DVDを購入して何度も見ましたが,彼女の演技には何度も涙させられました.主人公フラガール蒼井優)のお母さん役.娘のやることに最初は冷たく接しながらも,映画の後段でリヤカーを牽いてストーブを集めるシーンは何度見ても涙が溢れてきます.ここに日本のお母さんありきと感じます.

 富司さんが演技で描く,凛とした日本の伝統的なお母さん,おばあさん.今の若い女優さん達に,素晴らしい演技をしてくれる人達は沢山いますが,彼女たちが歳をとったとき,どういうお母さん,おばあさんを描くのか.気にもなり,楽しみでもあります.

 このブログを書くのをきっかけにWikipedia富司純子さんの項を読んでみて,その華麗なるご家族の皆さんの活躍の様子も印象的でした.夫は歌舞伎俳優の尾上菊五郎、長女は女優の寺島しのぶ(2010年ベルリン国際映画祭最優秀女優賞),長男は歌舞伎俳優・五代目尾上菊之助

 素晴らしい仕事をして当たり前のような環境で,周囲の期待通りに素晴らしい仕事をすること.大変なご苦労がおありであろうと拝察します.

映像の美しさ

 もう一つ,私が素晴らしいと思うのは,息を飲むような映像の美しさ.ロケ映像も,スタジオ映像も大変に美しい.カメラアングル,カメラワーク,レンズのボケ,背景の船や路面電車のタイミング,光と影の使い方.スタッフの皆さんがこだわり抜いて撮っているに違いありません.