エコステーションの開所式と環境デザイン的ペインティング
以前にも2回にわたって紹介してきた筑波大学のエコステーション・プロジェクトですが(初回と第二回),12月3日午前11時から開所式が行われるとの連絡を頂戴し,参加して参りました.
朝起きると,あいにくの雨.雨天決行と聞いていたのですが,セレモニー関係者は大変だなとの思いで家を出ました.幸い,11時頃には雨が上がり,天に感謝したい気持ちになりました.
エコステーション開所式
会場に行ってみると,こんな光景が目に飛び込んできました.
お茶のサービス?
開所式中で行う「回収デモンストレーション」の一環なのだそうです.ペットボトルに入った飲み物を飲んで,回収ボックスに入れるのを皆でやってみようという.寒いので暖まって下さいという,心づくし付きで.わざわざガスボンベ,ガスコンロ,テントをセットして.手の込んだおもてなしと演出に感心してしまいました.
どうもありがとう.お茶と一緒に,元気ももらえます.
しかしですね,限られた時間にペットボトル一本飲み干すのは,かなりの「元気」がいります.私は350ccをもらったのですが,有り難く,後で頂戴することにしました.
この学生さんは,時間までに間に合わせようと頑張っています.
この方がエコステーション推進の中心人物,栗本先生.
つくばエコシティ推進グループ長の井上勲先生.おもしろいお話をなさっていらっしゃいました.井上先生,強烈な雨男なのだそうです.井上先生が登場されるイベントはいつも雨が降るとのこと.その私もこの素晴らしいエコステーションの前に今日は敗れ去りました,と仰っていました.
珍しいアングルから撮れました.この写真から拝見すると,テープカット用の専用はさみがあるのですね.
エコステーションの環境デザイン的ペインティング
エコステーション開所式に合わせて,芸術の院生達がエコステーションの倉庫にペインティングをしてくれたそうです.できたばかりで,雨の直前にペイントが乾いてラッキーだったとのこと.秋日の中,映えます.
これが歩道に面している面.さすが芸術の院生の手による作品.きれいな絵になっています.後述しますが,100%手作りなんですよ.
さらに45度回った位置から.歩道を歩くとこの3枚が連続で見える.木の全景が見えてくるという仕掛け.
そして心憎いことに,この木は,歩道の反対側になるこの木をモチーフにしているのです.環境にマッチするようにデザインしているんですね.まさに環境デザイン.
さらに回り込んだ面がこちら.
ゴミ入れかごも緑でペイントされています.さびて汚くなったものがあったので,ペイントしたとのこと.
ペインティングの仕掛け
このペインティング,どうやって描いていると思いますか? 話を伺って,目からウロコ,でした.
i) 木の写真を撮り,
ii) フォトショップというフォトレタッチ(写真加工)ソフトウェアで加工して木の画像を作り,
iii) その画像を液晶プロジェクタで倉庫の壁に投影し,
iv) その投影画像をなぞるようにしながら,手でペイントする.
言われてみると,なるほどでしょう.でもこの方法を最初に思いつくのは大変なはず.
実はプロジェクトに関わっている学生さん達は,ADP(アート・デザインプロデュース)という全学に開いた授業で募ったメンバー.デザイン班が牧 奈歩さんと藪谷祐介さん(人間総合科学研究科 芸術専攻 建築デザイン),運営班が日比野功宜さん,矢田浩之さん,佐藤万里子さん(体育専門学群4年),遠藤立野さん,およびもう一人(体育専門学群3年).ADPプロジェクト内でさまざまなノウハウを共有しているのだそうです.
一般社会の生活とリアルに密着した大学の授業.素晴らしいと思います.リアル社会との付き合いになるだけに,シビアなこと,苦労も沢山あると思いますが,そこから学ぶことは大きいでしょう.
ペインティングのデザイン,環境に調和して,素晴らしい出来映えと思いますが,どうやってこの完成度を出していると思います? 伺ってさらに感心しました.実写画像に,さまざまな絵を貼り付けて,どうしたら環境に調和させられるか,皆で意見を出し合うのだそうです.
有り難いことに,議論途中の画像も送って頂けました.
まずは元の写真画像.
これが最終作に近いもの.実写ではありませんよ.画像加工で作った完成予想画像.
自然が作り出すものは美しい.その自然からインスピレーションを受けて,人々の暮らしに役立つモノ,役立つ仕掛けをデザインしていく.それもまた美しいことだと思います.