内田樹さんの話

 朝日新聞5月29日(土)に掲載された内田樹さん(神戸女学院大学・教授)の特集記事を読みました.

 神戸女学院大学は米国人の著名建築家の設計によるものとあり,同大学のサイトを訪ねてみると,確かにとても綺麗なキャンパス.神戸というとオシャレなイメージがありますが,そのイメージに違いません.

 内田樹さんの「日本辺境論」には,その読みやすさに感心させられましたが,今年の新書大賞を受賞したとのこと.

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著者:内田 樹

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この本を読んで以降,内田さんを思想界の池上彰と呼ばせてもらっています.目からウロコの連続で,感心させられっぱなし.新しい話はないと,内田さんも冒頭で言い切っていますが,語り口が池上彰,わかりづらい話を切れ味良く,一般人の分かる言葉で語ってくれます.

 同記事によれば,長い助手時代を経て40歳を前に,6歳の娘と二人で知人もいない神戸に来たとのこと.大学でフランス語を教え,帰宅すると育児,家事.胸を打たれます.
 来春,還暦を機に洗濯定年で大学を辞めるとのこと.教務部長4年,入試部長2年の激務とさよなら.自宅近くに武道の道場を開設し,合気道を教えながら執筆に専念ですって.何と羨ましい老後の暮らし(あるいは第二の人生)なのでしょう.第二の人生をどうやって暮らすかは,現代日本人の大きなテーマだと思います.私はまだ47歳ですが,とても気になっています.
 内田さんは朝日記者に次のように語っています.

ここには広ってもらった恩義がある.東大を出た後,都立大の助手を長く務めていましたが,まあ飼い殺しの状態.どこか職がないかと,北は帯広畜産大から南は沖縄の琉球大まで,三十数校も応募したが,8年間落ち続けた.フランス思想,ユダヤ文化専攻なんて学者を採る大学はない.

 そんなもんなんですかね.フランス思想といえば,思想界と花形と思っていました.

周囲の学者世界は,もううんざりだった.索漠として水気のない世界.噂や情報が飛び交い,悪口大好きで,切れ味鋭く他人を切って捨てる.

 筒井康隆の「文学部唯野教授」の世界なのでしょうか.(この本,私の愛読書.若いときによく読み,最近も読んだばかり)

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 次はマルクスをやるとのこと.私も最近,経済学を勉強したいと思っており,本が出たら,あるいは,ブログが出たら,読ませていただきたいと思います.