ビートたけし×松本清張「点と線」

ビートたけし主演のテレビドラマ,松本清張「点と線」をビデオで見ました.オリジナルは,テレビ朝日開局50周年記念番組として,2007年11月24・25日 2夜連続で放送.オリジナルを見損ない,ずっと気になっていました.

素晴らしい出来ですね.東京オリンピック時代(1964年開催)時代が忠実に再現されています.その作りこみは精巧ながら,わざとらしくない.映像,音声の隅々まで気が行き届いていて,隙がない.切符販売窓口で,昔の硬い紙で出来た切符が,鉄のケースのようなものに入れてずらっと並んでいる光景には,忘れていた遠い記憶が蘇りました.キャストの顔かたち,画質を見なければ,昭和の時代に作られた番組ではないかとみまがうほどです.

番組の最初のほうでは,どうして主演にビートたけしを選んだのか分かりませんでしたが,物語が進むに連れて分かって来ました.私はツービート以来,この人のファンですが,なんという人なんでしょう,この人は.お笑いから,シリアスまで,役者から,監督まで,別の人格を持っているようであり,いや一つの人格として,ぴたっと共存しているようにも思える.その顔,姿が映るだけで,ものすごい存在感.

ビートたけし以外も,キャスティングは素晴らしい.キャスティングが先なのか,竹山洋の脚本が先なのかわかりませんが,いずれにせよ,パーフェクトにマッチングしています.

大きな賞をとっていると後から知りましたが,納得です.

Wikipedia「点と線」

2007年の文化庁主催の芸術祭テレビ部門参加作品ともなり、審査員からは「推理ドラマの枠組みをはるかに超えた人間ドラマで、見るものを圧倒した」と評価され、ドラマとしては4年ぶりとなる大賞を受賞した。また2008年に民放連とNHKなどで作る「国際ドラマフェスティバルinTokyo実行委員会」が選ぶ「第1回東京ドラマアウォード」のグランプリおよび特別賞も受賞している(特別賞は美術スタッフに対して)。

ビートたけし以外で素晴らしいと思った一人は,高橋克典.いい役者になりましたね.

そして,その演技に震えが来るほどの素晴らしさを感じたのが市原悦子.映る場面はそう多くないが,そこはかとない深さを感じさせる素晴らしい演技です.日本の伝統的女性像を体現できる素晴らしい女優です.

最後にちょっと気になること

以下の記述は,ちょっとネタバレかもしれないので,お気を付け下さい.(薄めの記述にしてありますが^^)

「4分の空白」はよいとして,後半のアリバイ作りのトリックは,ちょっとハテナ.現代のミステリー作家が使うことはまず考えられないでしょう.映像作成者もそれを意識してか,シナリオと演出表現でカバーしてある気がしました.