地球シミュレータへの期待
ペタフロップス・コンピューティング―地球シミュレータを原点に“和”のスパコンを求めて
- 作者: 谷啓二,福井義成,上島豊,奥田洋司,矢川元基
- 出版社/メーカー: 培風館
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
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この本は地球シミュレータが出来て5年後の2007年に,地球シミュレータ関係者によって,おそらくは次世代スパコン(京)計画を援護するために出版された.スパコンの有用な利用例として,自然災害予測,人的災害予測を上げている.自然災害予測に津波シミュレーション,人的災害予測に原子力施設事故時の核物質拡散予測が入っている.まさか津波で,原子力施設事故が起き,その事故および事故処理のために核物質拡散が起きるのは「想定外」だったようである.
今回の津波の様子はいずれ,シミュレーションで再現されるであろう.それより何より急いで欲しいと私が思うのは,福島第一原発の1-4号機の容器内がどうなっているかをシミュレーションで見出して欲しいと言うことである.
福島第一原発の事故の様子を聞いていると,ITがほとんど役立っていないようで残念に感じている.スパコン技術の必要性を訴えるのに絶好の機会である.
しかしこの要望に応えるのは簡単ではないかもしれない.
1.全電源喪失は「想定外」だったので,全電源喪失を仮定したシミュレーションプログラムがなく,しかもFortran等ではアジャイル(迅速)に開発できない.
2.残念なことに,地球シミュレータは大電力を必要とする.
神奈川県下においても電力不足による不測の事態の発生が想定され、これを受け、14日から運用を停止している地球シミュレータ等のスーパーコンピュータシステムですが、少なくとも3月末まで続けて運用停止することに致しました。 運用停止による約5000kWの節電効果は一般家庭約9,200軒分に相当します。
http://www.jamstec.go.jp/es/jp/info/110318.html
4月1日から運転再開したようだが:
今回の国難に等しい状況に研究面から支援するため、東京電力株式会社との協議の上、4月から6月にかけての電力需給関係から、運用可能と判断し、4月1日より運用を開始いたします。ただし、6月下旬位から9月にかけては、大幅な電力需給バランスの悪化が見込まれ、部分停止、あるいは、再度の全面停止が予想されます。
http://www.jamstec.go.jp/es/jp/info/110330.html
3.すでにシミュレーション結果は出ているが,結果がヤバ過ぎるのかもしれない.