「お客様が聞きたいように歌いなさい,たとえ自分が苦しくても」
広瀬香美さんがボーカルレッスンの様子の一部を下記で公開していらっしゃいます.
第1回,2回も拝見しましたが,この第3回はとても深いことを言っているように思います.
聞く人が聞きたいように歌って下さい.たとえ自分が苦しくても,お客様が聞きたいように歌ってあげて下さい.高いところをお客様が聞きたいようだったら,ニコニコして,高いところの声を沢山出してあげて下さい.
「お客さんが聞きたいように歌って下さい」という教えは,歌だけでなく,人前で話をしたり,プレゼンをするとき全般に通用する考え方のように思います.あなたが話したいから話すのではなく,相手が聞きたいことを,相手が聞きたいように話してあげるのです.
さてそうすると,次のような疑問が浮かびます.自分が苦しく歌っても,それで本当にお客さんは喜んでくれるのか? 自分が楽しく,あるいは,楽しそうに歌うことがまず大事なのではないか.
場合を尽くすと,次の4通りが考えられます.
Case | 聞き手 | 自分 |
---|---|---|
1 | 楽しい | 楽しい |
2 | 楽しい | 苦しい |
3 | 苦しい | 楽しい |
4 | 苦しい | 苦しい |
(1) 聞き手が楽しく聴けて,自分も楽しく歌えれば,最高です.これを目指すでしょう.
(2) 聞き手が楽しく聴けるが,自分は苦しい時,それでよいから,聞き手のために苦しくてもがんばりなさい,というのが広瀬さんの教え.
(3) 自分は楽しいけど,聞き手が苦しい時,それはよくないと広瀬さんは言っています.
(4) 自分も聞き手も両方共苦しい時,これは最悪ケース.
つまり目指すべきは(1)または(2)で,自分が楽しいか,苦しいかに関わらず,とにかく聞き手を楽しくしてあげなさい.これが広瀬さんの教え.
言い換えると,お客様第一,自分第二で行け,です.お客様を喜ばせるために,とことん頑張りなさい.あなたが苦しくても頑張りなさい.そうでなればお客様は喜ばせることはできない.
人は往々にして,自分が楽しければ,相手も楽しいはずと思い込みがちです.自分が楽しいかは二の次.第一にお客様(聴衆)のことを考えよ.いろいろな場面で通用する,一般性のある考え方だと思います.私自信も心がけたいと思います.