コンセプト、名前、そしてTwitter

今までにない新しいコンセプトを作ることは重要である。しばしばそのコンセプトは、新たに作ったものというより、以前からあったコンセプトを「知覚」したものであったりする。それは時に「発見」と呼ばれる。その新しいコンセプトが有用であり、有用と思う人が多ければ幸いである。

コンセプトが発明・発見される過程、あるいは、それを人に伝えようとする過程で「言語化」が行われる。言語化は、短い言葉で正確に表現できるほど、多くの人に理解してもらいやすい。

言語化を行う際に、説明的(descriptive)に行うことが最も一般的であるが、時に新語が作られることがある。よい新語は、その語を聞くだけではすぐにはわからないが、一度その概念を理解すると、その新語は人々の記憶に定着し、新語を耳にする、あるいは思い浮かべるだけで、その語が意味する概念が自然に想起されるようになる。

興味深いのは、新語は時に説明的でなく、その語を聞いても全く意味がわからない、意味をなさない場合がある。コンピュータ関連技術にはそういう「新語」が多い。新語というより、固有名詞であろうと思われるが、固有名詞が一般名詞化する。Google, YouTube, Twitterが最近の典型例である。Amazon, ヤフオクなどもそうであろう。

コンセプトが固有名詞と結びつき、一般名詞のように使われるようになったとき、その単語のもつ知財価値は非常に大きい。その最たる例がYouTubeの価格である。Google社もYouTubeのような動画無料共有サービスを始めたが、YouTubeに迫ることは難しかった。しかし同社はどうしても動画共有サービスを手に入れたかった。あるいは、おそらくは、ライバル会社に「YouTube」をとられることを避けたかった。よって、現時点での収益性には目をつぶって、16億5000万ドルという破格値で「YouTube」を購入した。「YouTube」の実装は内部でどんどん変わっているかもしれない。また実際、YouTubeもどきは沢山ある。しかし、YouTubeと言えるのはYouTubeだけである。つまり、この名前の独占使用権が16億5000万ドルなのである。

現在、同様に売買されそうで、最も高値が付くと思われているはTwitterである。YouTube以上の値が付くことは間違いないであろう。

最初の話に戻るが、Twitter創業者達がなし得た最大の価値創造は、Twitterという「コンセプト」を作った事、あるいは、見つけた事である。コンセプトを作ることはそれくらい価値があることであり、簡単ではないことであり、そして、さして多くの原資がなくてもできることなのである。

ただし「リアルマネー」に換算可能かどうかは、時と運にもよるので、チャレンジする人はご注意を。