日野皓正@シャトーカミヤ(牛久シャトー)

 9月25日に日野皓正の野外コンサートがシャトーカミヤ(別名牛久シャトー)でありました.昨年度に引き続き,2年連続の参加.その様子をご紹介.

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 ヨーロッパを思わせる綺麗な建物でしょう.牛久市民は幸せですね.かなり広い敷地と,その中のワイン博物館が無料で公開されています.

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 これが「日野皓正コンサート」入り口の看板.

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 シャトーカミヤは,つくば市の隣,牛久市にあります.JR常磐線の駅があり,牛久沼があるところ.牛久沼ほとりには,小川芋銭(河童画で有名な画家),住井すゑ(作家,「橋のない川」等)らが住んでいました.
 シャトーカミヤは実業家 神谷伝兵衛により明治時代に創設された,日本初の本格的ワイナリー(醸造所)で,本館の建物は明治36年(1903)に完成したそうです(Wikipediaより).事務室(現・本館)など3棟の建物が国の重要文化財に指定されているとのこと.

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 日本初の本格的ワイナリーが茨城にあったなんて意外ですよね.牛久市はもちろんのこと,つくば市でも,ここで作られる「牛久ワイン」はとても有名で,ほとんどの酒屋さんに置かれています.値段も手頃.

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 この日は,台風を太平洋沿岸が通り過ぎ,昼前までは大雨でした.天気予報がピタリとあたり,昼からは晴天.地面も乾き,太陽はご覧のような澄んだ青空です.気温は夕方になるとちょっと肌寒くなりそうで,上着を持参しました.

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 このコンサート,とってもスペシャルでして,何と入場料が2千円で,そのうち千円はシャトーカミヤ内(コンサート会場の出店を含む)で使える千円の商品券付き.ビールやつまみを飲み食いしながら,ジャズコンサートが聞けるのです.しかもヒノテルが.実質千円で.そして晴天と,幸せな一日でした.


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 チケットは電話予約で予約を入れ,郵送された引換券で当日,開場で入場チケットを購入します.チケットは,満席になり次第,売り切れです.発売日(日曜)の朝10時から延々と電話を掛け続け,13時頃にやっと電話がつながり,予約できました.

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 開場16時,開演18時.その間に,ワイン博物館をみたり,ワインショップを見たり.1時間前に戻ると,日野皓正が指導をしているというジュニアジャズバンドによる前座演奏.中,高,大学生らしき人達.若くて緊張気味なんですが,演奏は相当にうまい.米国人がこれを見たら驚くんじゃないかと思いました.聴衆は高齢気味で,私など相当に若い方でしたが,やんやの喝采を送り,最後にはアンコールの声まで飛んでいました.時間の関係で,なかったですけど.

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 皆さん,日野皓正(ひのてるまさ)はご存じですかね.若い人は知らないかもしれませんね.私は現在,40代後半ですが,我々とそれ以上の世代では,本格的ジャズファンならずとも,渡辺貞夫とならんで,日野皓正の名は多くの音楽ファンが知っているんじゃないかと思います.アルコール系のコマーシャルによく出ていました.バック音楽は彼が作曲・演奏.フォービートジャズから,フュージョン系までやっていました.演奏良し,作曲良し,身のこなしは軽やかで,ダンディ.

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 今回はとっても機嫌がよいようで,MCもノリノリで,よくしゃべっていました.

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 実質千円なので,1時間くらいの演奏かなと思ったら,たっぷり2時間,楽しませてくれました.

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 バンド構成はカルテットで,日野皓正(tp) 石井彰(pf) 須川崇志(b) 田中徳崇(dr).昨年のバックはベテラン起用でしたが,今年は若手.全員,日本人ですが,特にベースとドラムスが若い.ニューヨーク,シカゴ帰りとのこと.ニューヨーク帰りのベーシストがイケメンで,近くに座ったあちこちのおばさんから,あの子,可愛いねとあちこちから溜息が漏れていました.

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 私の印象では,ベースの須川崇志さんがとても印象的でした.ボストンのバークリー音楽大学を卒業後,ニューヨークで音楽活動していたとのこと.米国のミュージシャンは層が厚くて,いつも圧倒されますが,彼は米国でも,回りに負けない存在感を持っていたんじゃないかと思います.凄腕の若手を見ると,嬉しくなってきます.これからが楽しみ.

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 ヒノテルのMCは絶好調なのに,途中でマイクとスピーカがハウリングを起こしました.彼はちょっとキレた様子.マイクのテストも兼ねてのようですが,英語でしゃべり始めました.I am a professional. You also have to be a professional...と言って,PA担当者を責めていました.その後,すぐに機嫌を直しましたけどね.

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 ジャズにはハプニングが付きものと言います.コンサートの最後,ヒノテルは,突然の思いつきで,前座のジュニアバンドから,男子2名,女子1名を呼び出しました.

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 高校生2名と短大生1名.トランペット,ピアノ,ドラム.ヒノテルも言っていましたが,ピアノはプロで通用しそうなハイレベル,トランペットもすごいいい線行っている.ドラムスは短大生女子ですが,すごいパンチのあるドラムを叩く.

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 ヒノテルとのツイン・トランペットもとっても良かったです.トランペットの先に付けるワイヤレスマイクを,高校生のトランペットに付けてやって,自由な体勢で演奏するソロをとらせたり(まるでヒノテル・ジュニア^^),二人でテーマ部分をハモったり.その場で,ピアノ,トランペット,ドラムスのソロの順番の指示を出しながら.

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 コンサートの途中で自分で行っていましたが,ヒノテルは今年68歳.それを聴いて会場からもどよめき.とてもそうは見えない.現役バリバリ.

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 ジャズに限らないと思いますが,ミュージシャンは皆,歳を取っても,歳を感じさせません.こちらにエネルギーを与えてくれる.

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 好きなことを懸命にやっているからなんでしょうね.

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 もっとヒノテルを聴きたい.これからもずっとヒノテルを聴いていたい,という余韻を残しながらのエンディングでした.